無料AIと有料AI、業務で使うと何が違う?同じ仕事を同条件で任せて実測比較
「無料のAIで十分では?」——法人のAI導入相談で、ほぼ必ず出る質問です。そこで、当社が毎朝6時に自動配信している社内ニュースメールの生成AIを、有料のClaude Sonnetから無料のLlama 3.3 70Bに切り替えられるか、同じ日・同じ素材・同じ指示文で両方に作らせて読み比べました。結果は数字ごと公開します。
差が出たのは、文章力ではなく「判断」。
無料AIは形式を完璧に守り、速度はむしろ速い。しかし「90件から重要な18本を選ぶ」という仕事を放棄しました。形式が決まった作業は無料AIで十分。選ぶ・切り捨てるという判断が入る業務は、品質にお金を払う——当社は切り替えを見送りました。
検証した業務と条件
AI・副業・起業・投資などのニュース記事を自動で約90件集め、AIが重要なものを選んで日本語で要約し、毎朝6時にメールで届けています。
現行のClaude Sonnet(Anthropicの有料AI・1回約13円)と、Cloudflare Workers AIの無料枠で動くLlama 3.3 70B(Metaの無料AI)。
2026年8月17日の同じ素材約90件を、同じ指示文で両方に渡しました。違うのは「どのAIが書くか」だけです。
実測結果:数字はここまで違った
| 項目 | 有料:Claude Sonnet(現行) | 無料:Llama 3.3 70B |
|---|---|---|
| 文字数 | 3,744字 | 893字 |
| 選んだ記事の数 | 18本(各テーマ4〜5本) | 5本 |
| 素材があるのに「該当なし」と報告 | なし | 副業・起業のテーマで発生(素材は各10本あった) |
| テーマの混同 | なし | 投資の枠にSNS投稿を配置 |
| リンク(URL)の捏造 | 0本 | 0本 |
| 生成コスト | 約13円/回・月約400円 | 0円(1日の無料枠の約6%を消費) |
| 生成速度 | 数十秒(筆者環境) | 10.7秒 |
無料AIが守れたこと——「形」は完璧だった
先に、無料AIを正しく評価します。指示したテンプレート通りにテーマごとの見出しを立て、リンクの捏造はゼロ。要約の日本語も自然で、生成は10.7秒と現行より速い。「決まった形式に流し込む」仕事なら、無料AIは十分に実用レベルでした。
崩れたのは「選ぶ」仕事
問題は中身です。無料AIの出力の該当部分を、実物のまま載せます。
### 💼 副業 - 該当なし ### 🚀 起業 - 該当なし
この2つのテーマには、その朝それぞれ約10本の素材記事を渡していました。素材はあるのに「該当なし」。人間の部下に例えるなら、資料の山を渡したのに「特にありませんでした」と報告してくるのと同じです。全体でも90件の素材から5本しか選ばず、出力は893字。現行のClaude Sonnetは同じ素材から18本を選び、3,744字で届けました。
この業務の本体は、要約の文章を書くことではありません。「90件の中から、事業者に効く18本を選ぶ」という判断です。無料AIは、その本体業務を静かに放棄しました。しかも形式は完璧なので、毎朝流し読みしていると「今日はニュースが少ない日か」と気づけない。判断を任せると事故るのは、こういう静かな形です。
無料AIの隠れた制約——一度に読める量が小さい
もうひとつ、実際に触らないと分からない制約がありました。無料で使えるAIの多くは、一度に読み込める文章量(記憶力のようなもの)が有料AIより小さいことです。今回の素材は全部で約4万字あり、そのままでは無料AIに入りきらず、事前に各テーマ10本まで絞り、説明文を短く圧縮してから渡しました。その下準備をしてなお、この結果です。「無料に切り替えるだけ」のつもりが、切り替えのために追加の仕組みが必要になる——ここも見積もりに入れておくべきコストです。
使い分けの基準:任せていい仕事、ダメな仕事
無料AIに任せていい仕事
形式が決まっていて、間違えても損害が小さい仕事。
- 定型文・お知らせ文の下書き
- 社内メモの整形・言い換え
- お客様向けの無料特典コンテンツの量産
品質にお金を払う仕事
選ぶ・優先順位を付ける・切り捨てるという判断が入る仕事。
- 自分の意思決定に使う情報の収集・要約
- 提案書・見積もりの根拠づくり
- 顧客に直接届く文章の生成
月400円の節約のために、毎朝の意思決定の材料の質を落とす——今回の検証で見送ったのは、この交換です。逆に、リードマグネット(見込み客向けの無料特典)のような「おまけ」の量産なら、無料AIへの切り替えは十分に合理的でした。「どのAIを使うか」の前に「その業務に判断が含まれるか」で分ける。これが実測から得た基準です。
公式情報
その業務、無料AIで足りるか判断できますか?
「どの業務ならAIに任せられるか」の見極めは、AIの名前選びではなく業務の分解から始まります。貴社の業務を形式作業と判断作業に分け、任せ方から一緒に整理します。
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