1. AIを入れたのに、なぜ儲からない?
「会社でAIを入れた。でも、売上も利益も変わらない」。そんな声をよく聞きます。
アメリカでも同じことが起きています。投資会社アポロのチーフエコノミストが、「テック以外の企業には、AIの財務的な成果はゼロ」と分析しました。TechCrunchが記事にしています。
今日は、この「ゼロ」がだれの話なのか、なぜ売上にならないのか、そしてどうすればいいのかを、順番に見ていきます。
2. 結論:浮いたエネルギーの使い方が、わからないから
先に結論です。AIで効率化しても、浮いたエネルギーの使い方がわからないから、儲からないのです。
- 事実:テック以外の大企業は、利益が増えていません。
- なぜ:浮いた力を、SNSや怠けで消してしまっています。技術の本質は「拡張」と「省人化」だと、わたしは考えています。
- どうする:仕事の流れを組み直し、時間と利益で測ります。浮いた力を、営業や商品づくりへ移します。

3. 「ゼロ」は、だれの話?
アポロのスロック氏が見たのは、アメリカの大企業500社です。そのうち、Alphabet、Amazon、Apple、Meta、Microsoft、Nvidia、Teslaの大手テック7社を除いた、残りの493社を調べました。
すると、テック以外の大企業では、利益率も、1人あたりの売上も、横ばいのままでした。AIを入れた成果が、数字に出ていないのです。

つまり「ゼロ」は、AIを作っている会社ではなく、AIを使う側の会社の話です。

4. 日本の会社は、どう?
日本はどうでしょうか。AIを入れても、「チャットで聞くだけ」で止まっている会社が多いと感じます。
調べものや文章の下書きにAIを使う。でも、仕事の流れはそのままで、人の数もそのまま。すると利益は変わらず、AIの費用だけが増えることもあります。
道具を足しただけでは、仕事の量は変わりません。
5. なぜ、売上にならない?
スロック氏は、こう言っています(意訳)。「AIは優れた計算機かもしれない。でも、ビジネスの知能の多くは判断だ」。
AIが作業を減らしてくれても、浮いた時間を何に使うかを決めるのは、人の判断です。新しい仕事に移すのか、どこに力を入れるのか。
ほかにも、AIだけでは決められないことがあります。「この人から買いたい」という信頼、「だれが引き受けるのか」という責任、そして会社ごとの暗黙のルールです。
AIが作業を減らしても、使い道を決めなければ、何も増えません。

6. テクノロジーの本質は?
ここからは、わたしの考えです。テクノロジーの本質は「拡張」と「省人化」だと思っています。
今までの技術は、肉体の拡張でした。手足や胃の仕事を、道具に任せてきたのです。火を使って料理をしたことで、消化の仕事が体の外に出て、そのぶんのエネルギーが脳に回った、という説もあります。農業では道具と牛が、産業革命では機械が、体の力を広げました。インターネットのおかげで、移動しなくても人と会えるようになりました。
そしてAIは、脳の拡張です。考える仕事も、道具に任せられるようになりました。

大事なのは、省人化で浮いた力を、どこへ移すかです。新しい仕事や学びに移せば、売上や利益が増えます。でもSNSや怠けで消してしまえば、AIを入れても何も増えません。
7. 仕組みごと変えるとは?
では、どうすればいいのか。AIを「足す」のではなく、仕事の流れを組み直すことです。
足すだけだと、人が聞いて、人が直す、今までの流れのままです。組み直すと、作業はAIが担当し、人は判断に回ります。

例えば、このチャンネルでは、毎朝の調査、集計、企画の下書き、編集はAIがやっています。わたしがやるのは、話すことと、決めることです。
8. 何で測る?
「AIを入れたかどうか」ではなく、「何が減って、何が増えたか」で測ります。
減ったものは、時間(1か月で何時間減った?)、費用(外注や残業は減った?)、ミス。増えたものは、同じ人数での処理件数、浮いた時間で生まれた売上、そして最後に残った利益です。

入れて終わりにせず、この数字を見ていくことが大切です。
9. まとめ:AIを入れて、なぜ儲からない?
- テック以外の大企業は、利益が増えていない。
- 浮いた力の使い方が、わからない。
- 仕事の流れを組み直し、時間と利益で測る。
AIで効率化しても、浮いたエネルギーの使い方がわからなければ、儲かりません。あなたの会社では、AIで何時間減りましたか? ぜひコメントで教えてください。
今日のスライドは、下の公式LINEからお配りしています。